DMO

目次

欧州等におけるDMO (Destination Management Organization) とは

DMO(Destination Management Organization)とは、 観光地域において、関係者の調整の下、観光地域の戦略策定、 観光資源の管理、品質向上等、観光地域づくり全般を担う専門 的組織。

DMOの主要な機能

●地域の観光に係る主要な関係者の合意形成、調整。

●各種データの収集・分析によるマーケティングに基づく戦略策定、KPIの設定、プロ モーションの実施。

●地域全体の観光資源の管理、観光品質の向上を行い、観光地域のブランドを形成。

●上記の活動を行うことにより、地域への観光客のワンストップ窓口を担う。

欧州においては、従来からマーケ ティング重視の観光地域づくりが行 われており、近年はDMOを中心に 取り組みが一層進展している。

観光マーケティングの重要性:①戦略的マーケティングと体制整備

欧州はじめ、観光先進地域では、観光マーケティング、ディスティ ネーション・マーケティングの重要性が十分認識され、これを観光振 興策の中心に据えている。
形態は様々であるが、マーケティングを有効に実施するためには、 専門職員を有する機関・部署を設置し、地域におけるマーケティング 能力を向上させることが重要。
具体的には、地域における観光の状況を把握し、その発展を一義 的に考える専門のマーケティング担当者を確保・育成する必要があ り、外部からマーケティング専門家を招聘するとともに、地域におい ても専門人材の育成を行っていく必要がある。

【ドイツ・バイエルン州:マーケティング専門機関の設置】

・既得権やしがらみ、自治体への甘え等を断ち切り、 体系的・戦略的な観光戦略を実行するため、「バイエ ルン・観光・マーケティング有限会社」という観光マー ケティング専門機関を設立 。

・社長はマーケティングの専門家を外部からスカウト 。

【ローテンブルグ市:自治体主導の戦略的取り組み】

・マーケティングについてはエージェント任せに することなく、最終的には市独自の判断を重視。

・観光担当者の在任期間は長く、権限も大きい。 責任者のリーダーシップの下に強力に策を遂 行できる体制を整備。

・インバウンド観光客の構成比についても留意し、 ドイツ人と外国人は半々となるようとするなど、 全体として満足度を高める戦略を取る。

【スイス】

スイス政府観光局は、観光客の特性や将来性を詳細に分析した上で、その市場の重要性 に応じて、デスティネーション・マーケティングの対象市場を 、①優先市場(Priority markets;EU 諸国、米国等)、②アクティブ市場(Active markets;豪州、東欧諸国、カナダ等)、③戦略的成 長市場(Strategic growth markets;中国、インド、中東、ロシア等、)、④発展市場(Developing markets;ブラジル、南アフリカ等)の4分類に分け、きめ細やかなマーケティング戦略を展開 。

【ドイツ:ブライザッハ市(バーデン・ヴェルテンベルグ州)の取り組み】

  • ドイツ南西部バーデン・ヴェルテンベルグ州に位置するブライザッハ市は、ワインの産地で有名。
  • 同市では市の組織であるBreisach-Touristik(BT)が地域の観光振興を担っている。
  • BTのトップは、大学で観光とマーケティングを専攻後、ホテル企業のマーケティング部門に勤務し、 1993年から現職を務める。
    BTでは、以下のようなマーケティングに基づく取り組みを実施。

 ★ ターゲット層(クルーズ客、キャンピングカー、日帰り観光客)毎の顧客属性等を分析。

 ★ 観光産業の地域への経済効果(観光消費額、地方税収、経済付加価値、雇用)につき、 外部機関への委託を通じて調査・公表 。

 ★ 地元中小ワイナリーに対して観光ビジネス研修等を実施 。

観光マーケティングの重要性:②地域間の連携

欧州では、地域間の連携により広域でマーケティングを行う取り組 みをインバウンド観光客への対応を中心に実施。

ドイツでは、観光資源を売り出す際、街道をつくり、その街道そのも のと街道沿いにある都市や名勝を一体として売り出していく、という 手法が広く取られている。
ロマンティック街道は、その草分け。

現在、その取り組みがさらに活発化しており、地域や国境を越え た観光ルート形成が盛ん。規模が小さく知名度の低い観光地にとっては、観光ルートの形成を通じて、知名度の向上と、単独では難し い国外向けマーケティングを実施できる効果が期待。

今日の欧州における地域間連携の取り組み事例

【欧州文化観光ルート機関 (EICR)】

EICRは、欧州の地域間における文化 観光ルートの形成を支援。

EICRが認定するルートは、ワイン、食 文化、音楽、温泉等の分野で24にのぼる。

【Upper Rhine Valley 】

Upper Rhine Valleyプロジェクトは、ドイツ・フランス・ スイスの 3カ国を跨ぐ広域観光連携プロジェクト。

ファンタスティック街道は、ドイツ南部地域の10 の 都市・地域の連携により開始。

何れもアジア等、海外からの観光客を増やすこと を目的としたもの。

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